会社を丸ごと継がなくてもいい|事業を分けて残した事業承継の実務事例
本記事は実際の支援事例をもとにしています。守秘義務・プライバシー保護のため、社名・所在地等を匿名化し、一部内容を加工しています。
会社全体をそのまま継ぐことが難しかった
ある養豚事業の承継では、会社全体をそのまま後継者へ引き継ぐことが難しい状況にありました。
事業承継というと、「後継者に会社を丸ごと継いでもらう」か、「会社を第三者へ譲る」かという二択で考えてしまいがちです。
しかし、会社の中には複数の事業や機能があります。それぞれを分けて見ると、すべてを同じ方法で承継する必要がない場合もあります。
この事例では、会社単位ではなく、事業単位で承継を考えることになりました。
継げる事業を切り出して残す
検討の結果、養豚事業の中にあった飼料製造事業を別会社として切り出しました。
その飼料製造会社を後継者が承継し、一方で養豚場本体はM&Aによって第三者へ引き継ぐ形となりました。
つまり、「全部を継ぐ」でも、「全部を手放す」でもありません。
継げる事業を残し、それ以外は別の方法で承継する。
複数の承継方法を組み合わせることで、会社や事業を次の世代へ残す方法を考えた事例です。
事業承継は「会社単位」だけで考えなくていい
この事例で重要なのは、M&Aを行ったこと自体ではありません。
重要なのは、最初から「誰が会社全部を継ぐか」だけで考えなかったことです。
何を残したいのか。何なら後継者が継げるのか。会社の中で分けて考えられる事業はないか。第三者へ引き継いだ方が残せる事業はないか。
こうして会社の中身を整理すると、事業承継は「親族承継かM&Aか」という二択ではなくなります。
この事例では、「事業を切り出す」「後継者がその事業を継ぐ」「本体は第三者へ引き継ぐ」という複数の方法を組み合わせました。
時間があるから、会社の形まで変えられる
事業を別会社として切り出すことも、後継者への承継も、M&Aによる第三者承継も、すぐに実行できるものではありません。
会社や事業の状況を整理し、複数の選択肢を比較し、必要な準備を進める時間が必要です。
事業承継は、承継方法を決めてから相談するものではありません。
まだ何も決まっていない段階だからこそ、変えられることがあります。
この事例から分かること
会社を丸ごと継ぐ必要はありません。
事業ごとに承継方法を変えることもできます。
早く整理するほど、「残す・分ける・譲る」を比較する時間を持つことができます。
会社の未来を考えるときは、「誰に継ぐか」「M&Aをするか」を決める前に、まず会社や事業の現在地を整理することが重要です。
一般社団法人アトツギ支援センターでは、まだ承継方法が決まっていない段階からご相談いただけます。
