銀行は「お金を借りるところ」だけなのか。
会社を経営していると、銀行とは長い付き合いになります。
運転資金を借りる。
設備投資の相談をする。
決算書を持っていく。
多くの経営者にとって、銀行はまず「お金を借りるところ」だと思います。
でも、銀行と会社の関係は、それだけではなくなっています。
銀行グループの投資専門会社や銀行系ファンドなどが、会社に「貸す」のではなく「出資する」ことがあります。
事業承継でも、銀行グループが「出資する」ことがある
銀行グループの投資専門会社が、事業承継会社へ資金を供給する仕組みは以前からあります。
2026年6月には、金融庁がその投資対象をさらに広げ、事業承継会社については上場企業であっても資金供給できるようにする制度改正を行いました。
さらに2026年8月24日には、銀行等によるリスクマネーの供給を円滑にするため、一定の要件を満たす出資について、自己資本比率規制上100%のリスク・ウェイトを適用できるようにする制度改正が公表されました。
こちらは2027年3月31日から適用されます。
制度はそれぞれ別のものですが、銀行や銀行グループが企業へ資金を届ける方法が、融資だけではないことが分かります。
すでに、銀行系ファンドが会社を引き継ぐ事例もある
これは将来の話だけではありません。
金融庁が地域金融の取り組みとして紹介している事例の中には、事業承継に悩んでいた北海道の製造会社に対し、銀行系の事業承継ファンドが出資し、全株式を取得したケースがあります。
さらに、その会社には新しい経営者も迎えています。
銀行系ファンドが会社の全株式を取得し、次の経営体制づくりまで関わる。
銀行との付き合いを「借入」だけで考えていると、少し意外に感じるかもしれません。
でも、地域から会社がなくなることは、金融機関にとっても無関係ではありません。
会社がなくなれば、雇用や取引、地域経済にも影響します。
会社をどう残すかを考えることも、地域金融が関わるテーマの一つになっています。
「銀行に相談する」の意味も変わっていく
もちろん、事業承継に悩んで銀行へ行けば、その銀行や銀行系ファンドが会社に出資してくれる、という話ではありません。
制度には要件がありますし、出資という方法が適している会社ばかりでもありません。
親族が継ぐ。
従業員が継ぐ。
第三者へ譲る。
ファンドが株式を引き受ける。
会社の未来には、いろいろな形があります。
その中で興味深いのは、銀行との関係が「資金を借りる」ことだけではなくなっていることです。
銀行に会社の将来を相談することと、銀行にお金を借りることは、同じではない。
銀行との付き合い方も、これから少し変わっていくのかもしれません。
